「家族信託を検討しているけれど、結局いくらかかるのか不安」

「調べても『財産の〇%』と書いてあって、自分の家の場合の総額が見えてこない……」

という声を多くいただきます。

結論から申し上げますと、家族信託にかかる費用の一般的な相場は総額50〜100万円前後です。

金額に大きな幅がある理由は、信託する財産の内容(不動産の有無)や、家族構成の複雑さ、そして依頼する事務所の報酬体系によって変動するためです。

特に、港区・目黒区・世田谷区など資産価値の高い都心・城南エリアでは、不動産の評価額に比例して国に納める「実費(登録免許税)」が高額になりやすく、事前の正確な試算が欠かせません。

そこで本記事では、司法書士が「家族信託の費用の内訳」から「コスト削減のポイント」まで、分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 家族信託にかかる費用の項目と相場
  • ケース別の費用シミュレーション(預貯金のみ・不動産あり・複数不動産)
  • 成年後見制度・遺言書との費用比較
  • 費用を抑えるためのポイントと注意点

家族信託の費用|項目別の内訳一覧

家族信託を設定するにあたり、発生する費用は大きく下記の5つの項目に分かれます。

  1. 司法書士報酬
  2. 公正証書作成費用
  3. 不動産登記費用
  4. 信託口口座の開設費用
  5. その他実費

それぞれの内訳と目安を確認しておきましょう。

費用項目金額目安備考
司法書士報酬
(相談・設計・書類作成)
30〜60万円財産内容・複雑さによる
公正証書作成費用
(公証人手数料)
3〜10万円信託財産の額による
不動産登記費用5〜20万円不動産がある場合のみ
信託口口座の開設費用無料〜数万円金融機関による
その他実費
(印紙代・交通費等)
数千円〜1万円
合計目安50〜100万円前後

司法書士報酬の内訳

司法書士報酬は、単なる書類作成代ではありません。家族の状況・財産内容・将来の希望を丁寧にヒアリングした上で、将来の争いを未然に防ぐための信託設計を行う、専門的な業務です。

報酬は、以下の業務ごとに発生します。

1
初回相談料

無料〜2万円

2
家族信託の設計・プランニング料

誰が、誰のために、どう管理するか
(10〜20万円)

3
信託契約書の作成料

将来の争族を未然に防ぐため
(10〜25万円)

4
信託契約書作成・公証役場との調整

3〜5万円

家族信託は一度開始すると、後からの変更に多大なコストがかかります。

将来起こりうるリスクを想定した上でプランニングを行う必要があるため、経験豊富な専門家への依頼が重要です。

公正証書が必要なケースとは

家族信託の信託契約書は、必ずしも公正証書にする義務はありません。ただし、以下のケースでは公正証書化を強くお勧めします。

  • 任意後見契約と合わせて設定する場合(任意後見は公正証書が必須)
  • 相続人が複数いて、将来の紛争リスクが高い場合
  • 不動産を信託財産に含める場合

公正証書にすることで、契約内容に法的な証明力が加わります。

公証人手数料は、信託財産の評価額に応じて法律で定められており、3〜10万円が目安です。なお、この費用とは別に、司法書士等の専門家に依頼する場合は報酬が別途発生します。

関連記事:公正証書遺言の「費用」はいくら?公証役場の手数料と専門家報酬の目安

不動産がある場合に登記費用が加算される理由

不動産を家族信託の対象とする場合、法務局への信託登記が必要になります。

これは、不動産の名義を「受託者(財産を管理する人)」に変更し、その不動産が信託財産であることを公示するための手続きです。

登記費用の内訳は、登録免許税(土地: 固定資産税評価額の0.3% 建物: 固定資産税評価額の0.4%)です。

例えば評価額3,000万円の不動産であれば、登録免許税だけで12万円かかります。不動産の数が多いほど費用も増えるため、事前に確認しておくことが重要です。

信託口口座とは・開設費用はどこにかかるか

家族信託では、信託財産の金銭を管理するために「信託口口座」を開設するのが一般的です。

受託者個人の口座と分けることで、信託財産が明確に管理されます。

開設できる金融機関は限られており、対応状況や費用は金融機関によって異なります。無料で開設できるケースもあれば、数万円の手数料がかかるケースもあります。

ケース別費用シミュレーション

「自分のケースではいくらかかるのか」をイメージしやすくするために、3つの典型的なケースで費用を試算します。

CASE 1 不動産なし・預貯金のみのシンプルなケース

Case 1

【預貯金のみ】シンプルな家族信託の費用目安

家族状況父(75歳)・母(70歳)・子2人
信託する財産預貯金3,000万円
想い長男を受託者として父の財産を管理したい

費用項目金額目安
司法書士報酬30〜40万円
公正証書費用3〜5万円
不動産登記なし
信託口口座無料〜1万円
その他実費数千円

合計目安約 40〜50 万円

不動産がなくシンプルな財産構成であれば、比較的費用を抑えることができます。最もコストがかかりにくいパターンです。

CASE 2 自宅不動産1件を信託するケース

Case 02

【預貯金のみ】シンプルな家族信託の費用目安

家族状況父(78歳)・母(75歳)・子2人
信託する財産自宅(評価額2,500万円)+預貯金2,000万円
想い認知症への備えとして信託を検討

費用項目金額目安
司法書士報酬40〜50万円
公正証書費用5〜8万円
不動産登記(登録免許税+報酬)13〜18万円
信託口口座無料〜数万円
その他実費1万円前後

合計目安約 65〜75 万円

最も相談件数が多い典型パターンです。

不動産の評価額が高いほど登録免許税が増加するため、事前に納税通知書で確認しておきましょう。

CASE 3 複数不動産・複雑な家族構成のケース

Case 3

【預貯金のみ】シンプルな家族信託の費用目安

家族状況父(80歳)・子3人(うち1人が障がいを持つ)
信託する財産自宅+収益不動産2件(合計評価額8,000万円)+預貯金
想い障がいのある子への財産承継も考慮した複雑な設計が必要

費用項目金額目安
司法書士報酬50〜70万円
公正証書費用8〜12万円
不動産登記(3件分)25〜40万円
信託口口座数万円
その他実費1〜2万円

合計目安約 90〜100 万円超

複数の不動産や複雑な家族構成のケースでは、信託設計に高度な専門知識が必要です。費用は高くなりますが、専門家への依頼価値も最も高いケースといえます。

【比較】家族信託の費用は「高い」のか?

家族信託の初期費用(50〜100万円)だけを見ると、「他の手続きより高いのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、家族信託の本当の価値は、目先のコストではなく「認知症発症後の、毎月の固定費と自由度」にあります。

家族信託・成年後見・遺言を比較する際の「3つの重要ポイント」

他の主な対策(成年後見制度・遺言書)と、将来的なコストや管理の柔軟性を比較してみましょう。

家族信託成年後見制度遺言書
初期費用50〜100万円10〜20万円5〜20万円
毎月のコスト原則なし2〜6万円/月なし
認知症への対応×
家族の自由度
生前からの財産管理×

1. 初期費用:長期コストで見れば家族信託が有利なケースも

家族信託の初期費用は50〜100万円と3つの中で最も高くなります。

一方、成年後見制度は10〜20万円、遺言書は5〜20万円と比較的抑えられます。

ただし、初期費用だけで判断するのは危険です。10年・20年単位の長期コストで見ると、家族信託が最も経済的になるケースもあります。

2. 毎月のコスト:家族信託は「一度きり」の投資

成年後見制度は、裁判所から専門家(司法書士や弁護士)が選任されると、本人が亡くなるまで毎月2〜6万円の報酬が発生し続けます。

一方、家族信託は初期費用こそかかりますが、月々の支払いは原則ゼロです。

長生きをすればするほど、家族信託の方が経済的メリットは大きくなります。

3. 認知症への対応:遺言書では「資産凍結」を防げない

遺言書は「亡くなった後の分配」を決めるものであり、生前の財産管理には効力がありません。

もし親御さんが認知症になり、銀行口座が凍結されてしまった場合、遺言書を持っていてもお金は下ろせません。

判断能力低下後も継続して財産管理ができる制度としては、家族信託が最も有効で、成年後見制度がこれを補完します。

4. 自由度:家族信託は「本人の希望」を最優先

成年後見制度は、家庭裁判所の監督下で「本人の財産を守ること」を最優先するため、実家を売却したり、相続税対策を行ったりすることに強い制限がかかる場合があります。

家族信託であれば、あらかじめ契約で定めた範囲内で、ご家族の判断で柔軟に資産を運用・管理できるのが最大の強みです。

5. 生前からの財産管理:認知症リスクへの備えは早めに

遺言書は「相続発生後」に効力を持つため、本人が存命中の財産管理には使えません。

認知症の進行とともに、預金の引き出しや不動産の売却ができなくなるリスクに備えるには、家族信託か成年後見制度の活用が必要です。

成年後見制度との10年間トータルコスト比較

成年後見制度(専門家後見)の場合、初期費用は安いですが、専門家後見人(弁護士・司法書士)が選任されると月額2〜6万円の報酬が「亡くなるまで永久に」発生します。

家族信託 成年後見制度(専門家後見)
初期費用約70万円約15万円
月額コスト0円約3万円
5年間の総コスト約70万円約195万円
10年間の総コスト約70万円約375万円

差額は約300万円。

家族信託の方がトータルコストを大幅に抑えられるケースもあります。

何もしなかった場合のリスクコスト

「まだ元気だから大丈夫」と対策を先延ばしにしている間に認知症を発症してしまうと、以下のような深刻な問題が起きる恐れもあります。

  • 銀行口座が凍結され、生活費の引き出しができなくなる
  • 自宅不動産の売却・活用が一切できなくなる
  • 施設入居費用の準備ができず、家族が立て替えを迫られる
  • 家族が財産管理をしたくても、法的には何もできない状態になる

こうした事態が起きてからでは、成年後見制度を使うしか選択肢がなくなります。家族信託の費用は、こうしたリスクへの「先行投資」と考えていただくことが重要です。

関連記事:認知症でも遺言書は作れる?司法書士が教える無効リスクと3つの対策

家族信託の費用を抑えるポイントと注意点

費用を適正に抑えることは大切ですが、間違ったコスト削減はかえってリスクを高めます。正しい削減のポイント4つをご紹介します。

  1. 財産の範囲を必要最小限に絞る
  2. 「自力で作成(本人申請)」のリスクを知る
  3. 複数の司法書士事務所で見積もりを取る
  4. 「格安」業者に注意が必要な理由

財産の範囲を必要最小限に絞る

信託設計の複雑さは、信託する財産の種類と数に比例します。

「すべての財産を信託しなければならない」というわけではありません。

最も管理が必要な財産に絞ってスタートし、必要に応じて追加していく方法も有効です。

「自力で作成(本人申請)」のリスクを知る

「ネットの雛形で契約書を作れば無料では?」と考える方もいます。しかし、以下のようなトラブルになる恐れがあります。

  • 銀行で拒絶: 銀行独自の審査基準を満たさない契約書だと、信託口口座が作れない場合もあります。
  • 税務リスク: 設計を間違えると、設定時に「贈与税」が課税される恐れがあります。

複数の司法書士事務所で見積もりを取る

司法書士報酬は法律で上限が定められていないため、事務所によって差があります。

2〜3か所に相談・見積もりを依頼し、内容と費用を比較することをお勧めします。

ただし、価格だけでなく「説明のわかりやすさ」「家族信託の実績」も確認してください。

「格安」業者に注意が必要な理由

相場より大幅に安い価格を提示している業者が見つかることがありますが、家族信託において安さだけを追求すると以下のリスクがあります。

  • 契約書の内容が不十分で、後からトラブルになる
  • 信託設計が家族の実情に合っておらず、機能しない信託になる
  • 税務上の問題が生じる設計になっていても気づかないリスク

一度設定した信託契約の変更は容易ではありません。

費用よりも「信頼できる専門家かどうか」を最重視して選ぶことが、長期的に見て最も賢明な選択です。

当事務所が費用について明確にお伝えできる理由

家族信託の相談先を探している方の中には、「問い合わせたら費用の話をなかなかしてもらえなかった」という経験をお持ちの方もいらっしゃいます。

当事務所では、初回のご相談から費用の目安を明確にお伝えすることを大切にしています。費用への不安を抱えたまま手続きを進めることが、ご依頼者様にとって最も避けるべきことだと考えているからです。

  • 司法書士による家族信託の専門的なサポート
  • 初回相談無料・費用の見積もりを無料で提示
  • 信託設計から登記、信託口口座の開設サポートまで一貫して対応
  • 費用の内訳を項目ごとに明示し、追加費用が発生する場合は事前にご説明

「うちの場合はいくらかかるのだろう」という疑問をお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

ご家族の状況をお聞きした上で、費用の目安を含めてご説明いたします。

まとめ

この記事のポイント

  • 家族信託を司法書士に依頼した場合の費用は、総額50〜100万円前後が相場
  • 費用の中心は「司法書士報酬・公正証書・登記費用・信託口口座」の4項目
  • 不動産の有無と数によって費用が大きく変わる
  • 成年後見制度と長期比較すると、家族信託のトータルコストが有利になるケースが多い
  • 安さだけで選ぶと信託設計に問題が生じるリスクがある

当サイトでは、家族信託に関する情報をシリーズで順次公開していきます。

成年後見制度との違い、実際の失敗事例、認知症と実家問題への対応など、気になるテーマからお読みいただけます。(各記事は公開次第リンクを追加します)

よくある質問(Q&A)

Q
家族信託の費用は分割払いできますか?
A

事務所によって異なりますが、分割払いに対応している事務所もあります。当事務所では、ご相談の上で柔軟に対応させていただいております。まずはお気軽にご相談ください。

なお、公証人手数料・登録免許税などの実費部分は、手続きのタイミングで一括でのお支払いが必要となる場合があります。

Q
相談だけでも費用はかかりますか?
A

当事務所では初回相談を無料で承っております。「まだ検討段階」「費用の目安だけ知りたい」という方でもお気軽にご相談いただけます。

初回相談では、ご家族の状況・財産内容をお聞きした上で、おおよその費用感をご説明しております。費用が確定するのは正式なご依頼の後になります。

Q
家族信託を設定した後、維持費はかかりますか?
A

家族が受託者となる場合、原則として毎月の維持費はかかりません。これは成年後見制度(毎月2〜6万円の専門家報酬が継続)と比べた際の大きなメリットのひとつです。

ただし、不動産の管理費用・固定資産税・信託口口座の維持費(金融機関によっては年間数千円〜数万円)は別途発生します。また、信託内容を変更する場合は改めて専門家費用がかかることがあります。

Q
費用が相場より大幅に安い事務所は問題がありますか?
A

相場より極端に安い場合は、信託設計の質や対応内容が簡略化されている可能性があります。家族信託の契約書は一度作成すると変更が容易ではなく、内容に不備があると後から深刻なトラブルに発展することもあります。

価格だけでなく「家族信託の実績件数」「設計の説明が丁寧かどうか」「税理士との連携体制があるか」などを総合的に判断して選ぶことをお勧めします。

Q
親が認知症になってからでも、家族信託の設定はできますか?
A

家族信託は、委託者(財産を預ける人)に「契約内容を理解できる判断能力」が必要です。認知症が進行して判断能力が失われた後では、原則として家族信託を新たに設定することができません。

「まだ軽度だから大丈夫」と思っていても、公証人や医師の判断によっては手続きができないと判断されるケースもあります。親が元気なうちに早めに動き始めることが非常に重要です。

Q
司法書士以外(行政書士・弁護士)に頼むと、費用は変わりますか?
A

家族信託の契約書作成は、行政書士・弁護士・司法書士のいずれも対応可能です。

ただし、不動産を含む信託では信託登記が必要となり、登記実務は司法書士の専門分野です。

弁護士が登記を行うことも可能ですが、実務上は司法書士が関与するケースが多く、
窓口を分けることで結果的に費用が増えることがあります。

こんな方はぜひご相談ください

  • 親や家族の「物忘れ」が気になり始め、将来の資産凍結が不安な方
  • 不動産をお持ちで、認知症による「売却不能」を避けたい方
  • 遺言書だけでは不十分だと感じており、生前からの柔軟な財産管理を検討したい方
  • 高額な成年後見制度の報酬を避け、信頼できる家族に管理を任せたい方
  • 家族信託と遺言、どちらが自分の家庭に最適か、プロの意見を聞きたい方
  • 相続登記の義務化対応も含め、実家の名義変更をまとめて相談したい方

「認知症への備え・資産凍結対策」でお悩みの方へ

認知症の診断を受けた、あるいは判断能力に不安を感じ始めた段階での対策は、一刻を争います。家族信託は、「元気なうち」にしか契約できないからです。

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「うちの場合はまだ間に合うのか?」「どのような順序で進めるべきか?」など、まずは無料相談で現在の状況をお聞かせください。

当事務所の特徴

  • 初回相談・訪問見積もり無料
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  • スピード対応
    判断能力があるうちに手続きを終えることが最優先です。戸籍収集から公証役場での契約、信託口口座の開設まで、司法書士が迅速にリードします。
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  • 遺言書・家族信託・相続登記を一括サポート
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  • 都内全域・近郊、対応訪問の徹底 :慣れ親しんだ環境でゆっくりとお話しいただけるよう、出張相談を基本としています。事務所まで足を運ぶのが難しい方もご安心ください。

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